豆の優れた力

2017.1.1

 醤油、味噌といった日本の伝統食に欠かせない豆は、日本人の健康長寿に大きく貢献してきました。

米、豆、野菜、海産物という日本型の食事は、低脂肪・高食物繊維でアミノ酸のバランスも良く、健康的な食事となっています。肉を常食する習慣のなかった日本では、昔から米と大豆がつきもので普段の味噌、醤油、納豆、豆腐といった大豆食品はもとより、季節の節目に食べる赤飯・おはぎに使われる小豆、和菓子にも米や豆を組み合わせのモノが多くあります。

豆類は、リジンを初めとする必須アミノ酸をバランスよく含んでおり、お米と組み合わせることでタンパク質を効率よく摂取することができます。また、ビタミンの中でも、エネルギー代謝を盛んにする作用があるビタミンB群が特に豊富で、疲労回復、スタミナ増強にもうってつけです。納豆だとその含有量はさらに増えるのでスタミナ食としても理想的です。一般的に不足傾向にあるカルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛等のミネラルも豊富に含まれています。

 これらの必須アミノ酸やビタミンB群、ミネラル類は、肉や魚にも含まれていますが、豆類の利点は脂肪分が少ないことです。若干含まれている脂肪分もそのほとんどが、肥満予防や動脈硬化予防に効果的な「不飽和脂肪酸」であり、さらにコレステロールも低いため豆類はとても優秀な食材だと言えます。豆類はこの他タンパク質、ビタミン、ミネラル等の栄養素をバランス良く含んでいる以外にも、ポリフェノール、サポニン、食物繊維、オリゴ糖といった機能成分も豊富なのが特徴です。

 ポリフェノール類は強い抗酸化作用を持っているため、健康に悪影響を及ぼす活性酸素を除去し、動脈硬化や心臓病の予防、免疫力の増強、抗アレルギー作用、血管の保護、発がん物質の活性化抑制等の効果が期待されています。また、各ポリフェノール類固有の様々な作用があることが近年分かってきており、よく知られている大豆イソフラボンには、肌細胞の新陳代謝を高めたり、肌のヒアルロン酸やコラーゲンの合成を促すなど肌の保湿力を向上させる作用があります。ただし大豆イソフラボンの摂り過ぎには、注意が必要とも言われていますので、サプリよりも日頃の食事に豆類を用いる形での摂取が好ましいと当店では考えています。

 サポニンは、植物に含まれている有機化合物の一種で、苦みやエグみなどの元となる成分のことを言います。豆をゆでた時に浮き出てくる泡は、通常はいわゆる「アク」として除去されますが、実はこの中にサポニンが多く含まれています。サポニンは、強い抗酸化作用を持っており、動脈硬化の原因となる過酸化脂質の生成を抑制し、血液中のコレステロールや中性脂肪を低下させる機能があると言われています。また、脂肪の代謝を促進するため、肥満防止の機能もあると考えられています。

 食物繊維やオリゴ糖は、腸内の善玉菌の増殖・活性化を促して腸内フローラを整える働きもあることから、便秘の解消にも有効とされています。また、豆類は不溶性食物繊維を多く含んでいるので、発がん性物質を始め腸内の有害物質の早期排出を促進し、大腸がんの予防に役立ちます。

 

 このように優れた力をたくさん持っている豆類ですが、その摂取量は年々減少しています。厚生労働省の「健康日本21」では豆類全般で成人1日100g以上と目標は設定されていますが、30g近く不足しているのが現状です。

 豆料理は戻したり、煮るのに時間がかかるなど面倒と思われがちですが、寝ている夜間に戻し、茹でる際も沸騰後は弱火にしておけば、他の家事にとりかかれます。時間がない時は、今は水煮缶やドライパックなどもありますので必要に応じて使い分けることもできます。

 豆料理を次の世代に伝えるには、特に子供に味を伝える子育て世代に喜んで食べてもらえるメニューの提案も大事だと思われます。豆というと甘い煮豆やあんこのイメージが強いのですが、野菜と一緒に和え物やサラダ、スープに入れたり、小豆やひよこ豆など澱粉系の豆はカレーやコロッケの具としても使えます。なお大豆の場合は、豆腐や納豆・味噌などの加工食品が、栄養素の消化吸収面ではより効果的ですので、それらを積極的に食卓に並べるのも豆類の摂取量を増やす一つの方法です。

豆料理のレパートリーが増えると食卓も豊かになり、家族の健康にも繋がります。ぜひいろいろ工夫をこらして食卓に豆料理を増やしてみて下さい。

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食物繊維とは?

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 食物繊維とは、人の小腸内で消化・吸収されにくく、健康の維持に役立つ生理作用を発現する食品成分の総称です。「人の消化酵素で分解されない」という特性を持つ集合体で、人工的に合成・精製したものも含まれます。

主に穀類、野菜、果物、海草、甲殻類、ごぼう、イモ類、豆類などに多く含まれる成分で、「不溶性食物繊維」「水溶性食物繊維」「難消化性でんぷん」の3タイプに大別されます。

 不溶性食物繊維:穀類、イモ類、豆類、根菜類等に多く含まれ、糸状に長い筋で、ボツボツ・ザラザラしているのが特徴です。水分を吸収して胃や腸で大きく膨らむため、腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、便通を促進します。
 大腸内で発酵・分解されるとビフィズス菌などの善玉菌が増えて、腸内環境が良くなる整腸効果があります。また繊維状、蜂の巣状、へちま状をしているためよく噛んで食べることになり、食べすぎを防ぎ、顎の発育を促し、歯並びを良くします。

 水溶性食物繊維:海藻類、果物類、ごぼうやオクラ等の野菜、納豆・きなこ、麦類等に多く含まれ、ネバネバ、サラサラしており、水に溶けてゲル化するのが特徴です。

水溶性食物繊維を食べた腸内細菌は、腸の環境によい酪酸やプロピオン酸を発生させ、ミネラルの吸収も促してくれるので、不溶性食物繊維よりもさらに整腸効果があります。

 さらに粘着性があり、胃腸内をゆっくり移動するので、小腸での栄養の消化・吸収をゆるやかにして食後血糖値の急激な上昇を抑えます。さらにゲル化することで胆汁酸やコレステロールを吸着して体外に排泄する作用もあります。

 難消化性でんぷん:トウモロコシやじゃがいも等を原料にして作られた消化・吸収されないでんぷんで、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維、両方の食物繊維とほぼ同じような働きを持っています。
 

1970年代までは「食物繊維」は体に吸収されない食べ物のカスであり、必要な栄養素まで輩出してしまう、いわば悪者とみなされていました。 しかし、この食物繊維が今では「第6の栄養素」と呼ばれるほど様々な働きを持っていることが分かってきており、世界中で注目されています。

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食物繊維のすごい力

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 食物繊維の重要性について注目されるようになったのは、1970年代に英国のデニス・バーキット博士が「食物繊維には大腸がんの予防に大きな影響を与えている」といった内容の論文を発表したことがきっかけです。

 バーキット博士が食物繊維の重要性に注目した糸口となったのは、アフリカにおける長年の医療活動によるものでした。世界各地で病気の傾向を知る機会があった博士は、イギリスやアメリカでは当たり前の糖尿病・心臓病・憩室炎・大腸ガン等が、当時まだ近代化されていないアフリカではほとんど見られなかったことに非常に驚き、そこからこれらの病気は食生活を変えることで予防できるのではないかと確信したということです。

 バーキット博士が食物繊維の重要性について論文を発表するまでの非常に長い期間、食物繊維と大腸がんとの間に関連性は無いとされていたのですが、今日では様々な病気を予防するためには食物繊維の摂取が不可欠だということで専門家の意見は一致しています。それは、食物繊維が、食べた物の消化・吸収を遅らせることで胃腸への負担は減り、大腸の通過時間は食物繊維が腸壁を刺激して排泄を早くしてくれるため、腸内での悪玉菌の増殖が抑えられることで、様々な病気を防ぐことが分かってきたからです。

 食物繊維は、便秘の改善・排便力アップ、腸内環境を改善する、食べ過ぎを予防する、血糖値の上昇を抑える、血中コレステロールの正常化を図る、胆汁酸やコレステロールを吸着し体外に排泄する、免疫力を高める生理作用があり、いずれも生活習慣病を予防するのに欠かせない重要な働きをしています。

さらに食物繊維は、一緒に摂取した脂質や糖分の吸収を和らげるだけでなく、腸内にたまった有毒物質をも吸着して排泄する働きがあることも明らかになってきました。この吸着・排泄作用は腸内環境の改善につながるので、様々な体の不調やトラブル・病気の予防に効果的です。

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食物繊維の効果的な摂り方

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 食物繊維の摂取目標として、厚生労働省では「日本人の食事摂取基準」(2010年版)で1日の摂取量を成人男性の場合19g、成人女性の場合17gと定めており、理想は1日20g以上摂取することが望ましいと言われています。

 実は昭和30年代の日本人は食物繊維を20〜25g摂取していました。昔の日本人は玄米や大麦などの穀物やごぼう・芋などの根菜類、豆類、海藻類等からたくさんの食物繊維を摂っていたのです。しかし、食の欧米化が進み、精白された米やパン、肉・卵・乳製品など食物繊維をほとんど含まない食品が好まれるようになったことから、食物繊維の摂取量は減少を続け、現在の日本人が食事で摂取している量は平均13〜14gと目標摂取よりもかなり低い数値になっています。そのため現代人は、食物繊維が不足することによって起こる様々な症状や病気を抱える人が増え続けている状況です。これらの症状や病気にかからないようにするために、また症状を改善するためには、食物繊維を意識して積極的に摂取する必要があります。 

 ただし、体に良いからといって同じ食物繊維を摂り過ぎたり、摂り方を誤ると下痢や消化不良を起こすなど、かえって体によくない場合があります。例えば食物繊維が豊富な食品の一つに玄米が挙げられますが、よく噛まないとうまく消化できずに腸で詰まってしまう場合があります。便秘症の方が良かれと思って玄米をよく噛まずに食べ続けていると便秘がひどくなってしまうこともあり得るのです。また、病気や手術等で腸の癒着が起きている方が海藻を食べ過ぎると、海藻類は腸の癒着部分に詰まりやすいため腸閉塞の原因となってしまう場合があり得ます。

 大事なのは、不溶性の食物繊維」と「水溶性の食物繊維」をバランスよく摂取することです。理想の比率は、不溶性と水溶性で2:1がベストバランスと言われています。 現在日本人が食事で摂取する食物繊維は、不溶性食物繊維が中心となっていることから、水溶性の食物繊維を多く含む食品を積極的に摂ることが効果的な食物繊維の摂り方であると言えます。

そしてこの食物繊維をバランスよく効果的に摂取する最適な方法は、昭和30年代までの日本人が食べていた食事、つまり「和食」を積極的に食べることです。豆類や海藻類、玄米や麦飯、野菜の煮物、きんぴらごぼうやワカメの酢の物、ホウレンソウの胡麻和えや豆腐のお味噌汁など和食の料理には食物繊維を多く含む食材が使われています。

 和食の中でも特に大麦や納豆は、不溶性と水溶性の比率が2:1となっており理想的な食物繊維バランスの食品です。食物繊維以外にも様々な健康効果を有する食品ですので、ぜひ積極的に食べていただくことをおススメ致します。 

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参考・引用文献資料(書名、著者名もしくは編者名、出版社、発行年、総ページ数)※順不同

「家庭でできる自然療法」東城百合子著 あなたと健康社 1978年 430P

「薬草の自然療法」東城百合子著 池田書店 2011年 254P

「家庭の味 手作り食品」東城百合子著 あなたと健康社 2008年 190P

「食品の裏側」安倍司著 東洋経済新報社 2005年 244P

「なにを食べたらいいの?」安倍司著 新潮社 2009年 223P

「食品業界は今日も、やりたい放題」小薮浩二郎著 三五館 2012年 222P

「給食で死ぬ!!」大塚貢・西村修・鈴木昭平(共著) コスモ21 2012年 205P

「野菜の裏側」河名秀朗著 東洋経済新報社 2010年 235P

「有機・無農薬の家庭菜園誌 野菜だより 2014年 1月号」 学研パブリッシング発行 2014年 130P

「ほんとの野菜は緑が薄い」河名秀朗著 日本経済新聞出版社 2010年 191P

「食事でかかる新型栄養失調」小若順一・国光美佳(食品と暮らしの安全基金) 三五館 2010年 205P

「新食べるな危険!」小若純一(食品と暮らしの安全基金) 講談社 2005年 261P

「どこでもできる給食で食育ヒント集」発行者 坂本尚 農山漁村文化協会 2006年4月増刊号 168P

「アレルギーの9割は腸で治る!」藤田紘一郎著 だいわ文庫 2011年 197P

「子どもをアレルギーから守る本」藤田紘一郎著 だいわ文庫 2012年 216P

「医者に殺されない47の心得」近藤誠著 アスコム 2012年 227P

「腸ベストセラー本」健康ジャーナル社編著 健康ジャーナル社 2013年 63P

「元気になる『油』、病気になる『油』。」健康ジャーナル社編著 健康ジャーナル社 2014年 64P

「日本人には塩が足りない」村上譲顕著 東洋経済新報社 2009年 206P

「粗食のすすめ」幕内秀夫著 東洋経済新報社 1995年 246P

「なぜ『粗食』が体にいいのか」 帯津 良一著 幕内 秀夫著 三笠書房 2004年 221P

「沈黙の春」レイチェル・カーソン著青樹簗一役 新潮文庫 1974年 394P

「東洋医学の哲学」桜沢如一著 日本CI協会 2001年 253P

「久司道夫のマクロビオティック 入門編」久司道夫著 東洋経済新報社 2004年 172P

「タネが危ない」野口 勲著 日本経済新聞出版社 2011年 203P

「いのちの種を未来に」野口 勲著 創森社 2008年 188P

「ちょっと高くても、コッチ!」小藪浩二郎著 三五館 2015年 189P

「骨博士が教える『老いない体』のつくり方」 鄭 雄一著 WAC BUNKO 2010年 184P

新・食物養生法―食医学と薬効食品」 鶴見 隆史著 第三書館 1999年 413P

「食物繊維の底力」健康ジャーナル社編著 健康ジャーナル社 2016年 48P

「うみのせい」海の精クラブ編集 海の精発行 各号内より適宜

「けんこう各号」全日本健康自然食品協会コミュニケーション紙各号内より適宜

 

【文責】:たまな自然食品店 代表 荒木英智

熊本県玉名市山田2199-1 TEL:0968-73-8965

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